書いている人:あやこ(競技ダンスをしていたので、キラキラした衣裳が大好き)
一緒に聞きにいった人:しづか(ネイルサロン育ちなので、キラキラした爪が大好き)

パーソナルトレーナーの塩屋未央さんに、話を聞いたよー!第四弾です!
いえーい!

<内容>
- ボディビルの種目
- ビキニ競技の特徴
- 「女性らしさ」って?
第三弾では、ボディビルダーの筋肉について、教えてもらいました!


今回は、ビキニ競技という、ボディビルの種目の話です。
塩屋先生に会うまで、ビキニ競技というものの存在を、知りませんでした。


そうですよね。
そもそもボディビルは、男性と女性で、種目が全然異なります。
詳しくは大会によっても違うんですけど、大きくわけると、男女で種目が違ううえに、男性と女性それぞれの中でも、色んな種目があります(*)。
男性と女性では、そもそも筋肉の付き方やホルモンバランスなどが違うので、女性が男性ボディビルダーのように、ゴリゴリマッチョになることは難しい。
それなら、女性には女性ならではの筋肉美を追求する種目があったら良いのでは?ということで、女性らしい筋肉美を競うのが、ビキニ競技です。
(*)ボディビルの種目は、定期的に新しいものが出来たり統合されたり、常に変化し続けています。ボディビル大会について読むなら、ボディビル選手権で優勝もされた、大森恵美子さんが書かれた、『ボディビル大会観戦ガイド』(スモール出版、2020年)がおススメです。
以下、簡単に、ボディビルの主要な種目をピックアップしてみました。
■男子種目
ボディビル | 肉体美の最高峰。 全身が見られる。 上半身は「T」の形。 | ビキニ水着+ 裸足 |
クラシックフィジーク | 全身が見られる。 上半身は「V」の逆三角形。 | ビキニ水着+ 裸足 |
フィジーク | 上半身が見られる。 上半身は「V」の逆三角形。 コンセプトは「海が似合う男」。 | サーフパンツ+ 裸足 |
■女子種目
フィジーク | 肉体美の最高峰。 全身が見られる。 上半身は「T」の形。 男子ボディビルと審査基準は同じ。 女性らしいポーズ。 | ビキニ水着+ 裸足 |
フィギュア | 全身が見られる。 上半身は「T」の形。 女子フィジークと同じポーズ。 女性らしい歩き方が評価に追加。 | ビキニ水着+ ハイヒール |
ビキニ | 全身が見られる。 上半身は「V」の逆三角形。 筋肉美だけでなく、女性らしい丸みも重視。 女性らしい特有のポーズ。 女性らしい歩き方、立ち姿が評価に追加。 | ビキニ水着+ ハイヒール |
主催団体によって細かな分類や評価基準は違いますが、この「ビキニ」の基準を持つ競技が、「ビキニ競技」と呼ばれるものです。

②の記事で、Vシェイプと女性らしさを残した筋肉マッチョと言いましたが、それが、私が目指すからだです。
女性らしい丸みが大事なんですね!
具体的には、どういう感じでしょうか?


例えば、フィジークでは、四角いお尻が求められますが、ビキニでは、お尻は丸くないといけないんです。
ビキニのお尻の丸さといえば、あのバックポーズ!
初めて写真を見せてもらったときは、正直びっくりしました!


ⒸNPCJ(現FWJ)公式HPより (https://fwj.jp/competition/bikini/ )

初めて見たときは、びっくりしますよね!(笑)
これは、お尻から裏太もも(ハムストリング)にかけてが見られるものです。
マッスルコントロールで力を入れると、ぐっとラグビーボールのような筋肉が浮き上がってくるんです。
どこですか?


ここです!

Ⓒ安井友梨さんのブログより (https://ameblo.jp/yuriyasui/entry-12219322344.html)
ううううう美しいいいいいいい

こんな筋肉、女性につくんですね!!


そうなんです!
大会によって違うんですが、お尻だけでなく、背中も見られます。
背中まで!


そうなんです(笑)。
一枚目の写真の大会は、背中は見られないので、ロングヘアが背中にかかっていますが、二枚目の写真の大会は、背中が見られるので、ロングヘアを、前に寄せていますよね。
背中が「V」の逆三角形(Vシェイプ)なのが、ビキニ競技の特徴です。
Vシェイプを作るために、私も3年かけて、ここまで来ました!

ここから脂肪を絞り切って、筋肉と皮に仕上げていきます。Ⓒ塩屋未央
うわ、全然違いますね!
ダイエットに成功することと、競技選手になることは、まったく別の話なんですね…!

さっきのバックポーズって、360度まわるんですか?


大会によりますけど、バック、サイド、フロントがあります。
お尻だけじゃなくて、前や横の筋肉のカットも、審査されるんです。
これ、股関節も柔らかくしなければならないので、普段こうやって、地道に訓練しているんです(笑)。

この訓練の上に、あのバックポーズが……!

どういう基準なのかは、大会ごとに決められているんですか?


世界でやってるやつもあるので、世界基準があったり、日本独自のものだったりもしますが、主催団体ごとに、決まっています。
例えば団体によっては、小尻のほうが受けるところもあります。私は骨盤が大きいので、大きいお尻が評価される大会を目指します。
自分が理想とする体型と、出たい大会が、異なることも、よくあります。評価されたいのに、評価される基準が違うときです。
からだって、その人の体型や骨格などから逃れられないため、どうしても「人体の限界」がある。
くびれやすい人、くびれにくい人、お尻が大きくならない人、お尻がもともと大きい人。
大会によって、「あなたはこっちのほうが向いているね」というものがあります。
へー!
いろんな体系の人に合わせた大会があるんですね。


そうなんですよ。
一方で、大会に出たいけれど、出られる大会がない人もいます。自分が得意とするところが評価される大会が、そもそもないとか。
そういう方は、大会には出ず、自分の理想を追い求めてトレーニングをされています。
今は、SNSなどで発信し、社会的に評価されるシステムがあるので、大会の基準が全てではありません。
ただ、大会に出る選手たちは、大会で求められるからだ作りが必要です。
また、大会ごとに違うとはいえ、基本は一緒。
例えば、背中を全く評価しない大会に出る場合、背中のトレーニングをしなくていいわけでは全くなくて、ウエストからお尻までのシェイプを見られるから、背中もしっかりやらないといけない。
結局、全身のトレーニングが必要になります。
それぞれ大会のHPを見ると、明確な評価基準が、はっきり打ち出されているんですね!
これを読むだけでも楽しいです。


そうですね。
女性の場合は、「女性らしさ」や「カリスマ性」なども評価基準にあり、雰囲気やセンスも重要です。
女性らしさって、どうやって示すんでしょうか?
わたしは実家がネイルサロンなので、女性らしさって、爪という、手先にあらわれる、と思ってきました。
ボディビルでも、ネイルをしたり、手先に気を配ったりするのでしょうか?


ボディビルでも、女性はネイルをします。
指も、少し曲げるんですよ。
私がポージングの先生に言われるのは、こういう感じ。


小指、伸ばすんですね!
ネイルの写真撮るときも、こうします!

へー!なんでだろ、小指に女性らしさがあるんかな?
そういえば、『ボディビル大会観戦ガイド』でも、男子ボディビルと同じ種目にあたる女子フィジークでは、ポーズのときに指を広げることで女性らしさを表現するって書いてありました!


ⒸNPCJ(現FWJ)公式HPより (https://fwj.jp/competition/bikini/ )

女性らしさの表現、不思議ですよね(笑)。
ビキニ部門では、評価対象に、特有のウォーキングもあって、女性らしさを出すために、ユラユラ揺れながら歩くんです。
ウォーキングまで!


あと、ビキニ選手は、ロングヘアの人がほとんどなんですよ。後ろを向いて、髪を寄せるバックポーズもあるんです。
女性らしさは髪の長さ?


って思うでしょ?(笑)
私は普段、ずっと髪は短いので、大会ではいつも、エクステをつけて出てたんです。
が、今年は、ショートで出たろ~と思って。
体で勝負や!と。
ショートでも女性らしさって出せると思うし、みんなが同じようなロングヘアで一緒ってのもおかしいと思うし、別にショートでもいっかと思ったんです。
実際、まれに、ショートの人がいて、入賞してたりもするから、女性らしさはからだがちゃんと出来てたら、ちゃんと評価されると思っています。
めっちゃいい!応援します!
だって先生、最近、さらに髪切られましたよね?


そう。
ますます短くなってる(笑)。
去年は、ボブでしたよね?
今年は大会に出るんですよーって言って、髪が短くなったから、大会に出るときは、減量的に、短くするのかと思ってました(笑)。

微々たる差!(笑)


大会前は、ビキニ選手は髪を伸ばすので、実は、逆をいってたんですよ(笑)。
しかもボディビルの競技の減量は、体重じゃなかったから、ダブルで盛大な勘違い(笑)。
面白いですね、筋トレをガチでしているっていう時点で、一般的な「女性らしさ」から、一回外れてると思うんです。体脂肪も、15%切るとか。
だけど、評価基準に「女性らしさ」があって、それが、ネイルや指先、長い髪、ユラユラした歩き方などに象徴される。
めちゃくちゃ錯綜してて、色んな論点が浮かび上がって、本当に興味深いです!


私は、ビキニ競技の、女性らしさを残した筋肉美というのが、本当に好きなんです。
水着も、キラキラしてて、めっちゃ可愛いんですよ!
水着?うわ、本当だ!キラキラしてる!


よく見ると、ビキニがキラキラしている!Ⓒ塩屋未央
ずっと水着の写真を見てきたのに、全然気づかなかったです!!
うわ、どの人も、水着めっちゃキラキラしてる!!


(笑)。
大会では、照明も当たって、写真よりもキラキラします!
ぜひ、大会に来てください!
めちゃくちゃ楽しいですよ!
絶対行きます!
今日はインタビューにお答えいただき、ありがとうございました!

連載記事
- ①なぜトレーナーに?
- ②トレーナーとしての思い
- ③ボディビルのからだ
- ④ビキニ競技って?(この記事です)
この記事を書いた人

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人のからだがどういう仕組みで動いているのか気になって、分子生物学を学びに、大学へ行きました。
今は、いろんなパフォーマンスを通して、人のからだを考えようとしています。
いろんな人やしごとをに出会い、いろんなからだを知るたびに、「ああ、自分はなんて、頭でばかりわかった気になっていたんだろう。現実はこんなに広い!」と、感動します。
皆さんと、いろんなからだに出会っていきたいです。
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